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2018.02.01
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【保存版】生前贈与のキホンとやり方

生前贈与って何?

1.生前贈与とは

お金をもらう。この行為は日本では税金を支払う対象となります。
日本では、お金を含む財産を受け取ると、何らかの税金が課されます。
働けば給与として。売れば利益に対して。亡くなれば相続財産として。
お金が動くとそのタイミングで税金がかかるようになっています。

今回のテーマである贈与は、自分の財産を他人(主に親族が多い)に無償(タダ)であげることを指します。
生前とあえて加えているのは、生きているうちに行う生前贈与と、
無くなったタイミングで財産をあげる死因贈与の二種類が存在するからです。

普通の感覚だと生きているうちに財産(多くは現金)をもらうので、
生前贈与が当たり前です。

ところが、相続人以外の親族や赤の他人に死亡と同時に財産をあげることは、
通常はできません。そのため、死因贈与契約を結ぶことで死亡と同時に、
相続人以外の特定の人に財産を移すことができるのです。

通常の生前贈与は、親や祖父母が子や孫に対して主にお金をあげることで、
自身の財産を減らすことで相続税を減らすことができる一方、
もらう人は資金を教育や住宅購入など特定の目的に対して使ったり、
将来のためにとって置いたりします。

贈与は、双方の同意が必要となりますので、
あげる方が一方的に、もらう方の知らない間に財産を移しても、
贈与したとは認められません。

認められないという言葉の意味は、
税務署などの調査が入った時に、
贈与していないと認定されることになるということです。

贈与していないのであれば、あげた人の相続財産と認定されて、
相続税が増えたり、加算されたりします。
もしくは、申告していなかった贈与が発見され、
贈与税が課税されたり、加算されたりします。

2.なぜ生前贈与が必要なの?

目的は2つあります。
1つは相続税対策です。
もう1つは資金の有効活用です。

1つ目の相続税対策ですが、
平成27年に相続税制が改正されたことにより、
相続税の課税対象者が倍増しました。
年間130万人が亡くなる日本で、8%の課税対象者となりますので、
10万人ほどが毎年相続税対象となる被相続人となります。

相続税制が変更になったため、
いままで相続税と無縁だった人たちが、
相続税を納める可能性が出てきました。

相続税は財産の多寡によりますが、
初めて相続税を納めることになる家庭であれば、
数十万円から数百万円でしょう。

せっかく気づいた財産を税金で取られるくらいなら、
子や孫にあげてしまおう、と思ってもおかしくありません。
実際にそのような気持ちになるから生前贈与が行われるのです。

日本政府はそのような気持ちに気づいて、
相続税がきちんととれるよう、贈与に対する税金は相続税より多くなるように設計しました。
これにより、まとまった資金が子や孫に移れば、そのタイミングで
贈与税として国にお金が入る仕組みとなったのです。

贈与でもらったお金を教育でもマイホーム購入でも、
何でもいいので使ってもらえれば経済も潤います。
または、資産運用を行うことができれば、世の中にお金が回ります。
使うにせよ、投資するにせよ、良い循環となる可能性があるのです。

贈与税の計算方法

贈与税は毎年1月1日から12月31日までの間にもらった財産の合計に対して課税されます。
ただし、もらう人ごとに年間110万円の基礎控除があるため、
一年にもらうお金が110万円までであれば、贈与税はかからない仕組みです。

計算方法は
(贈与財産の金額-110万円)税率-控除額=贈与税額
となります。

20歳以上の成人が父母祖父母から受け取る場合と、
それ以外の場合で異なる税率が適用されることになっています。
これにより、父母祖父母から子や孫への贈与が従来よりも有利な条件で、
行えるようになっており、高齢者から若者への資金移転と、
それに伴い若者がお金を使う事を意図して贈与税率が設定されています。

生前贈与のポイント

1.基礎控除を知る
もらう人一人につき年間110万円までは贈与税はかかりません。
110万円を1円でも超えれば贈与税の課税が始まります。

110万円までは非課税なのですが、資産をたくさん持っている人の場合は、
毎年コツコツ110万円ずつ贈与したり、複数の家族に贈与することで、
手元の財産を徐々に減らすことができます。

2.世代を飛ばすこともできる
子どもではなく、孫の世代にお金をわたすこともできます。
親から子供に財産が相続されると相続税が一度課税されます。
子どもから孫に財産が相続されると二度目の相続税が課税されます。

このような複数回の相続課税を免れるため、
世代を飛び越えて贈与することも有効な方法です。

3.駆け込み贈与の注意点
財産をあげる人が贈与後3年以内に亡くなった場合は、
財産は移っていても、相続税の計算上は贈与が無かったものとして課税されます。
空気に課税されるような感じかも知れません。
すでに無いものに課税するのです。

ですから、余命宣告されたり、そろそろお迎えが来そうだと思っている場合の贈与は、
税金の計算上は意味がないという事です。

生前贈与の効果

生前贈与をなぜ行うかというと、相続税を免れるためとお伝えしました。
正しく贈与の効果を測定したい場合は、
このまま何もせず相続税を払う場合と、
贈与することで払う贈与税の金額を比較すればよいということになります。

個別の税額計算はここでは行いませんが、
生前贈与の目安としては、
贈与税額>相続税額であれば、
生前贈与にゴーサインを出すことができます。

生前贈与の注意点

1.争族の火種になる
特定の人にだけ多額の贈与をすることは、贈与されない人には喜ばれません。
相続時に争いの火種になることがありますので、
納得してもらえる理由、大義名分があるかを確認しましょう。

2.遺留分に配慮する
亡くなる一年以内の生前贈与は、遺留分の対象となります。
遺留分とは民法で定められた最低限取得できる財産の割合です。

亡くなる時期はコントロールできませんが、
財産の分け方への配慮は必要でしょう。

3.エビデンスを残す
贈与は口約束でも成り立つのですが、
税務調査や家族から指摘があった場合に、契約書があると納得感があります。
贈与に関してはあげる人、もらう人双方の合意があっても、
他人からは合意は見えません。

誰かに指摘されても証明ができるように、
贈与契約書を贈与の都度作成することをお薦めします。

子どもや孫の知らない間に、もらう人の名義の銀行口座にお金を移す行為は、
名義預金として贈与が成立していないと指摘されるリスクが大きいです。

また、一括でまとまった資金を贈与すると高額の贈与税が発生するため、
分割して贈与する場合は、総額を贈与したと認定される恐れもありますので、
贈与の方法には工夫が必要でしょう。

生前贈与の申告漏れ

平成28年度の贈与税の調査によれば、
3,722件の調査が行われ、申告漏れが9割に相当する3,434件ありました。
申告漏れの総額は1,918億円、追徴税額は453億円です。

これは、調査1件あたり、申告漏れが5,153万円、
税額が1,218万円となる計算です。

とても大きな数字です。贈与税は意図せずとも申告しなければ税額が増えることとなります。
しっかり申告・納税することが結果として財産をきちんと残すことにつながると言えます。

生前贈与の手続き順序

1.贈与契約書をつくりましょう。

2.財産の移転を行いましょう。

3.贈与税の申告と納付を行いましょう。

子や孫の費消が心配な場合。

贈与された資金は子や孫が使ってしまう場合があります。
無駄遣いをされてはせっかくの贈与の意味がありません。
贈与した資金を将来に活かせるような仕組みを使うことで、
より生きたお金の使い方になります。

贈与した資金の投入先としては生命保険が適当とされています。
理由は、契約の仕方によっていろいろな活用ができる点、
早期に出金するとペナルティで資金がマイナスになる点です。

もらったお金を原資に親に保険をかけることで、
親の死亡時に生命保険金を受け取ることができます。
受け取ったお金は、他の相続人への代償交付金として活用することができます。

また、相続税の納税資金として活用することもできます。

最近増えている活用方法は、子や孫の将来資金として運用するという方法です。
子や孫の教育資金、マイホーム取得資金、老後資金など、
お金の状態であれば使い道は自由です。使うときが来るまで上手に運用すれば、
当初の贈与額より多くの資金を手にすることができるでしょう。

生前贈与の相談先

税金の計算は税理士しか行えないため、自分で計算するか税理士に相談すると良いでしょう。
贈与資金の上手な活用方法は、ファイナンシャルプランナーに相談すると良いでしょう。
生前贈与などでトラブルになった場合は、弁護士に相談すると良いでしょう。

生前贈与は、スマートに実行して、資金は上手に活用しましょう。


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