他の記事はこちらから。
- FP目線で回答!マイホーム取得に関するQ&A(その1)
- FP目線で回答!マイホーム取得に関するQ&A(その2)
- FP目線で回答!マイホーム取得に関するQ&A(その3)
- FP目線で回答!マイホーム取得に関するQ&A(その4) ←現在のページです。
保証会社って何のためにあるの?
住宅ローンが返せなくなった時、誰かがかわりに立て替えて支払う必要があります。通常は、連帯保証人という役割の人が、あなたに替わって住宅ローンを立て替え払いすることになります。しかし、人の住宅ローンの支払いを保証してくれるような人は普通いませんよね?配偶者や親子であれば、連帯保証人を引き受けてくれる可能性はあるでしょう。しかし実際に支払い能力があるかどうかは別問題です。
保証会社は連帯保証人の代わりを担う会社で、連帯保証人を探したり依頼したり説得したりする手間をなくして、保証料というお金を払うことで連帯保証人になってもらう仕組みなのです。ただ、これは誰のための仕組みなのかというと、銀行をはじめとした金融機関のための仕組みです。あなたが住宅ローンを払えないと、保証会社が替わって銀行に住宅ローンを支払ってくれます。銀行からすると、これで貸し付けは全額支払ってもらえたことになります。一方で、あなたの借金は減りません。保証会社が替わりに払ってくれた住宅ローン残額を、保証会社に対して返済する義務が残ります。このとき住宅ローン返済を一括払いで返すことになります。住宅ローンが払えない人が、残債一括弁済などできるはずがありませんので、あなたの家は競売にかけられることになります。もしくは競売までの間に任意売却によって換価することになります。家を売っても住宅ローンが残る場合は、残額をコツコツ返し続けるような返済計画が立てられたり、自己破産をすることで債務を免除されるという道筋もあります。
保証料は、ある金融機関では借入100万円あたり2万円程度となります。借入額の2%程度と覚えておくといいでしょう。住宅ローン3,000万円なら60万円の保証料(前払の場合)、5,000万円なら100万円の保証料(前払の場合)、フラット35の融資手数料とほぼ同程度ですので、フラット35も検討される方は覚えておきましょう。
ちなみに、保証料は繰り上げ返済時や、借換時の一括弁済時に未経過分が戻ってきますので、繰り上げ返済のインセンティブ的な位置づけにしてもいいですし、借換時の諸費用負担と相殺させてもいいでしょう。
参考までに、某銀行の系列保証会社の保証料は、借入金額が100万円の場合、借入期間が35年で20,610円、30年で19,137円、25年で17,254円、20年で14,834円、15年で11,982円となっています。収入等が不安定な方では外部の保証会社を活用することもあり、その場合は上記よりも高額な保証料となることもあります。
抵当権設定って何ですか?
住宅ローンが払えなくなった場合に困るのは、お金を貸している銀行です。住宅ローンの残額を回収するのにあなたの自宅を売却することになるのですが、その権利を明確にしておくのが抵当権設定です。
ですから、簡単に言うと、住宅ローンが払えなくなった時に、銀行が借金の貸しっぱなしを防いで、少しでもお金お回収するための仕組みと言えます。ちなみに、抵当権のように、不動産などのモノで借主が万が一お金を返せなくなった時に備える仕組みを、物的担保(物的保証)と言います。似た仕組みである連帯証人は人的担保(人的保証)と言います。つまり、住宅ローンが払えなくなった場合に備えて、抵当権と連帯保証という二つの仕組みで、貸し倒れを防いでいるのです。
団体信用生命保険って何ですか?
借りたお金を死んでも返済するという究極の貸し倒れ対策です。住宅ローンを借りている人が亡くなった場合、当然働けませんから給料は入ってきません。となると当然住宅ローンが払えませんので、銀行は困ります。
このような場合に備えて、団体信用生命保険という名称の生命保険への加入が必須となっている銀行がほとんどです。抵当権、連帯保証、団体信用生命保険という銀行にとっての三種の神器で貸し倒れを防止しているのです。よく考えると恐ろしい仕組みです。しかし団信があることで、実は家族が助かるという場合が多いことをご存知でしょうか?独り身の方であれば、亡くなっても住宅を売却して終わりになればいいのですが、ご家族がいらっしゃる方も多いはずです。
一家の大黒柱が無くなった後に、残された家族の生活はどうなるのでしょうか?残った遺族には生活があります。家が必要です。生きるための住まいを大黒柱の死亡で失わない様に、死亡に際して住宅ローンを相殺させるような仕組みを使うべきなのです。
生命保険という名前の通り、死亡時に保険金を支払う仕組みですから、持病があったりすると団体信用生命保険に加入できない場合があります。嘘をついて団体信用生命保険に加入したという話を聞くこともありますが、万が一加入後すぐに死亡事故などがあると、調査が入り、告知した健康状態が虚偽の内容であると、告知義務違反で告発されることになります。実際に、団体信用生命保険に関しての告知義務違反の判例もありますので、気になる方は調べてみるといいでしょう。
なお、団体信用生命保険が無くても住宅ローンが借りられる銀行もありますし、フラット35であれば、団体信用生命保険の加入は任意となりますので、持病のある方は既存の生命保険を活かしつつ、フラット35でお金を借りるという方法もあります。
最近では、メンタル不全の方が増えていますが、精神疾患があると団体信用生命保険への加入が困難であると考えられることから、精神疾患の多い業界(いくつかあります)の方は、将来的に団体信用生命保険に入れなくても困らない様に、生命保険に加入しておくのもリスクマネジメントの一つとなります。
遅延損害金って何?
住宅ローンが払えなくなった場合に、約束違反ということで利息+αの罰金が用意されています。14%程度であることが多いので、住宅ローンの支払いが滞ると踏んだり蹴ったりと言えそうです。
繰り上げ返済って何?
返済の期日前に借入の返済を実施することです。繰り上げ返済を実施するに際して手数料がかかることがあります。また保証料の返還についても所定の手数料がかかることがあります。
繰り上げ返済をすることで、将来発生する見込みの金利が消滅するため、金利負担を減らす効果があり(利息軽減効果)、資金的にゆとりのある方は早目に繰り上げ返済をすることが、自分自身のライフプラン上無駄な利息を払わないということで、手元に資金が残ることになります。
ただし、繰り上げ返済貧乏という言葉があるのですが、得だからと言って頻繁に返済をしていくと、手元にお金が残らず、いざ他の用途に資金が必要になった場合に支払いができなくなることがあります。ご利用は計画的に、そして返済も計画的に、ということです。
連帯債務って何?
親子リレーローンなどの場合、連帯債務者Aと連帯債務者Bはともに債務者となります。この場合に債務者それぞれが負う債務の事を連帯債務と言います。銀行によって違うかもしれませんが、一般的には銀行からの通知はAまたはBいずれか一方に対してなされます。
借入の返済は、AまたはBの口座から引き落としになりますが、債務の負担割合に応じた元本返済の扱いとなります。
どうでしょう。こうしてみると色々な発見があるとともに、お金を借りる立場がどれほど弱いのかがわかります。住宅ローンは借りる前までは銀行が平身低頭、借りて欲しさにあの手この手のお願いをしてきます。しかし、実際借りてしまえば借り手は弱い立場に置かれます。そのことをよく理解して、住宅ローンを借りて家を買いましょう。無理な返済は禁物です。
他の記事はこちらから。
- FP目線で回答!マイホーム取得に関するQ&A(その1)
- FP目線で回答!マイホーム取得に関するQ&A(その2)
- FP目線で回答!マイホーム取得に関するQ&A(その3)
- FP目線で回答!マイホーム取得に関するQ&A(その4) ←現在のページです。