FP目線で回答!マイホーム取得に関するQ&A

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変動金利と固定金利はどちらがお得?(変動金利、10年固定金利、固定金利、フラット35)

変動金利と固定金利のどちらを選ぶべきか。これは住宅ローンにおける永遠に解決されない質問です。

金利と住宅ローンの関係を考えると、金利が高いと毎月の返済額が多くなり、金利が低いと毎月の返済は少なくて済みます。となると、どちらの金利が低いかという事なのですが、この原稿執筆時点では、「変動金利 < 固定金利」となっています。ただ、時期によっては「変動金
利 > 固定金利」となることもあり得ますので注意が必要です。

金融の世界では、金利変動局面では借りる場合の金利選択、預ける場合の金利選択にはセオリーがあるとされています。金利上昇局面では、固定金利で借りて、変動金利で預ける。金利下落局面では変動金利で借りて、固定金利で預ける。

さて、今は金利上昇局面でしょうか、それとも金利下落局面でしょうか。もし正確に判断できれば問題はないのですが、金利が明日どちらに動くかの予測精度が高い方がいれば、投資に向いています。投資(投機)で一儲けできるであろうと思われます。普通はどちらに向かっているのかその時点ではわかりづらいのです。

ただ、歴史的な低金利にあって、一部マイナス金利の適用もありますので、今以上に金利が下落すると考える人がいたとしても、その下落幅は限定的です。ほとんど0%に近いのですから、下がりようがないということです。一方で、金利は天井がありませんので、上昇が始まった場合は驚くような金利が登場することもおかしな話ではないのです。

さて、住宅ローンの話に戻ると、変動金利は実は下がっていません。金利には割引があります。その割引率が大きくなっているため、金利が下がっているように見えるのです。他方、固定金利は明らかに下落が続いていました。フラット35に代表される長期固定金利は、変動金利と見間違えるほどの低さです。たとえば、フラット35Sであれば、1%を切る金利で全期間固定金利を適用させることができるのです。ですから、少し前の「変動金利 > フラット35S」となっているのです。フラット35への借り換えが増えている理由はこの金利差の縮小が原因です。

金利が上がり始めたら変動から固定へ金利を変更しようとおっしゃる方がいたとしても、実際そんなにうまく行くはずがありません。そもそも金利がどのタイミングで上がるかは神のみぞ知るところ。普段仕事で金利の事を毎日考えている人は少ないはず。となると、固定金利のほうが安全と言えます。ただ、結果として今までは変動金利で問題は無かったと言えるでしょう。

変動金利が向いている人は、金利が上昇して返済額が増えても支払いが苦しくならない人です。固定金利が向いている人は、住宅ローンを借りると生活が汲々としてしまう人。ですから、高所得者は変動金利にすればよく、そうでない人は固定金利が無難であると言えるでしょう。

住宅ローンの比較で気をつける点は?(割引金利、手数料、割引後金利、安い、高い、比較表)

住宅ローンを比較する場合はどのような点に気を付ければ良いのでしょうか。

実は住宅ローンを選べる人と選びづらい人がいます。住宅ローンが選べるのは、上場企業に勤務していたり、公務員であったりと所得水準が高く、長期安定雇用だと見込まれる人です。反対に住宅ローンが選びづらい人は、個人事業主や中小・零細企業経営者、非正規雇用、所得の低い人、車などの他のローンがある人、などです。

上場企業に勤務や公務員の人は、住宅ローンに関して選び放題です。基本的にはどこでも貸してくれるでしょう。その場合は金融機関ごとの比較をしてみるのも良いでしょう。金融機関によって貸出しの条件や費用が微妙に異なります。

住宅ローンが選びづらい人は、まずは貸してくれる金融機関を探すことから始まります。金融機関選びが大変な場合、不動産会社が相談を受けてくれないことがあるため、自分自身で金融機関をあたらざるをえないこともあります。住宅ローンが借りづらい人向けの金融機関もありますので、地元の金融機関をくまなく当たってみる必要があります。一般的には、フラット35や信用金庫などがメガバンクなどより借りやすいと言われております。

住宅ローンを選ぶのに金利だけで判断するのは尚早です。実際に借りる金利は割引が適用されているのが通常です。そして割引金利の割引率や割引期間など、金融機関によって差が出てきます。見た目の金利は同じでも、実質的な負担額は異なることがあり得ます。他にも、金融機関がお金を貸し出すにあたって、事務手数料がかかります。保証料という名前のお金がかかることや、融資手数料という名目で保証料と同じような金額の費用がかかることもあります。

他にも、住宅ローンを借りるための手続きは、一般的に平日の午前中に銀行の店舗で行います。ですから、自宅または新居の近くに銀行があるかどうかもポイントです。住宅ローンを借りた後も、繰り上げ返済などの相談に行くこともあるでしょう。金利が安くても不便な場所にある銀行より、近くで便利な銀行の方が生活に支障がないでしょう。

住宅ローンを比べる場合は、ご自身で比較表を作ると良いでしょう。インターネットで住宅ローン比較と検索すると、アフィリエイトのサイトが出てきます。外資系の銀行を中心に一般的とは言えない銀行が並びます。ですから、エクセルなどを使って比較表を自作すると良いでしょう。比較基準は自分目線で構いません。銀行の雰囲気で選ぶのも良いでしょう。何千万円という大金を借りて返すのですから、気持ちの良い銀行とお付き合いをしたいものです。

住宅ローン減税って何?(ローン控除、確定申告、年末調整)

住宅ローンを借りると、所得税や住民税の納付額を減らすことのできる、住宅ローン控除という制度があります。税金に関する制度のため、実施期間や期間中の優遇内容がその都度変わりますが、50㎡以上で一定の基準をクリアした戸建てやマンションを購入すると、借入額に応じて所得税と住民税が減らせる仕組みです。一部の優良住宅になると、税金の控除額を増やすことができますので、少し予算が上がっても税金の優遇を多めに受けられる住宅を購入する方が結果として有利になることもあります。

住宅ローン控除を利用する場合は、国税庁という税金に関する役所が決めたルールに則る必要があります。細かな条件は国税庁のタックスアンサーで「No.1213 住宅を新築又は新築住宅を取得した場合(住宅借入金等特別控除)」を調べると良いでしょう。この制度を利用するには、最初の年は確定申告が必要です。2年目以降は年末調整で適用になります。金利の低い時代にあって、税金の還付制度を有効活用しない手はありません。税制は知っている人だけ得をするようにできています。マイホーム取得者への景気浮揚のための報酬でもありますので、上手に活用しましょう。

住宅購入時の諸費用って何がある?(仲介手数料、抵当権設定、登録免許税、固定資産税)

家を買うときに住宅以外に必要な費用がたくさんあります。不動産会社に支払う仲介手数料、売買契約書の印紙代、住宅ローン契約書(金銭消費貸借契約書)の印紙代、住宅ローン手数料、住宅ローン保証料、建物と家財の火災保険料と地震保険料、団体信用生命保険料(主にフラット35の場合)、固定資産税の日割り分、不動産の表示登記や名義変更のための登録免許税、住宅ローン借り入れのための抵当権設定登記に関する費用、司法書士報酬、などをまとめて諸費用と言います。

諸費用は現金で支払うことが理想的ですが、住宅ローンに含めることもできますし、諸費用のみ住宅ローンとは別のローンを組むこともできます。金融機関によって取り扱いが異なりますので、手元に資金の無い方は銀行に相談されると良いでしょう。

諸費用を抑える方法としては、仲介手数料の不要な建売など不動産会社が保有し販売している物件を買うことで、仲介手数料3%プラスα(消費税別)の負担がなくなります(その分価格が高くなっているのですが)。他には、保証料を一括払いではなく金利上乗せによる分割払いにする、火災保険と地震保険の支払方法を一括払いではなく、年払いや月払いに変更することなどがあります。物件の価格にこだわる方は多いのですが、諸費用の負担を減らす工夫をする方は少ないですので、検討の余地はありです。

住宅選びで大切なことは?(注文住宅、建売住宅、マンション、新築、中古、リノベーション)

なぜ家を買うのか、その答えがここにあると言っても過言ではありません。賃貸か所有かという視点だけで家を買う人と、理想のライフスタイルを実現するために家を買う人では目的が違います。賃貸より所有が得である、という事で家を買うのであれば、価格が基準になるでしょう。ライフスタイルを実現したい方は、価格より他の条件を優先にして物件選びを考えるべきです。

家を買う理由が曖昧ですと、良い物件が出てきても買う意思決定ができないことがあります。家を買う目的がはっきりしていると、物件の情報を見たときに即座に取捨選択ができるものです。不動産会社は家を売るのが仕事ですから、家が売れれば何でもいいわけです。ですから、家を買うのに時間をかけるのは無駄な対応を増やすことにつながるため、お客様を迷わすようなアドバイスはしないのが普通です。

家を買いたいと思ったきっかけ、どんな住まいが理想なのか、家族は家に何を求めているか、しっかり考えてマイホーム取得に取り組んでください。例えば、家にとことんこだわりたい方は工務店による注文住宅が適しています。住宅の仕様や内装など自分であれこれ考えるのが嫌いな人は建売住宅か建築士による設計がお勧めです。管理や修繕の負担、セキュリティの心配を減らしたい方はマンションが選択肢として入ってくるでしょう。他にも新築なのか中古なのかという点も悩ましいでしょう。最近は新築建売住宅の新築リノベーションや、築年数の経過したマンションのリノベーションなどで、自分好みの家を作ることを楽しむ人も増えているようです。人生で最も大きな買い物ですので、じっくり考えて賢い買い物を楽しんでください。

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